バリの舞踊は観光に付け足された娯楽ではありません。島の人々が祈り、物語を伝え、子どもを育てる営みの一部であり、最初のホテルができる何世紀も前から寺院の境内で踊られてきました。バリ舞踊はユネスコの無形文化遺産に登録されており、毎晩のように島中で数十の舞踊団が公演を行っています。実際に何が観られるのか、そして公演の選び方を紹介します。
代表的な3つの舞踊
ケチャ。最も有名な舞踊です。楽器はまったく使わず、50人から100人の男性が輪になって「チャッ、チャッ、チャッ」と重なり合う掛け声だけで音楽のすべてを生み出し、その中央でラーマーヤナが演じられます。ラーマ王子、さらわれたシータ、魔王、そして最後に炎の中を跳び回る白い猿ハヌマンが登場します。合唱の技法は古いトランスの儀式に由来し、舞台用の形は1930年代に整えられ、以来バリを代表する公演となっています。
バロン&クリス。仮面舞踊劇です。2人の踊り手が操る毛むくじゃらの獅子のような守護獣バロンが、魔女ランダと秩序と混沌の終わりなき戦いを繰り広げます。最後はトランス状態になった踊り手たちが波打つクリス(短剣)を自分に向けますが、バロンに守られて傷つきません。どちらも勝たない、それこそが要点です。毎朝バトゥブランで上演されており、トランスの要素は芝居ではなく真剣なものとして扱われています。
レゴン。洗練された宮廷舞踊です。金の錦織の衣装をまとった若い踊り手たちが正確な型に沿って動き、足と同じくらい目や指、首が物語を語ります。他の2つより静かで、通好みの舞踊です。ケチャがスタジアムの大合唱なら、レゴンは室内楽です。
ケチャはウブドとウルワツのどちらで観る?
バリには有名なケチャの舞台が2か所あり、旅のスタイルによって向き不向きがあります。ウブドのケチャは火曜と日曜の午後7時から。こぢんまりとした舞台で、町での夕食と組み合わせやすく、当社のウブド文化の1日の自然な締めくくりです。ウルワツのケチャは毎日夕暮れ時に、海を背にした断崖の円形劇場で上演されます。規模が大きく混雑し、南海岸での1日と組み合わせるのが前提で、当社の南バリとサンセット・ケチャのツアーはまさにそのために組まれています。同じ掛け声でも、まったく違う2つの夜です。優劣ではなく場所で選びましょう。
公演の様子
公演は約1時間で、子どもや時差ぼけの人にもちょうどよい長さです。たいてい英語の物語のあらすじが配られますが、すぐに必要なくなるでしょう。物語は体の動きで伝わり、悪役は一目でわかり、ガムラン楽団(ケチャでは掛け声)がドラマを盛り上げます。ほとんどの会場は自由席なので、20~30分早く着けば良い列に座れます。フラッシュなしなら写真撮影は問題なく、腕が他の人の視界を遮らなければ動画撮影も大丈夫です。服装はカジュアルで構いません。これらは一般向けの公演であり、寺院の儀式ではありません。
神聖な舞踊、儀式の舞踊、それとも公演?
バリの伝統では、舞踊を3つの区分に分けています。ワリ(神聖な舞踊。寺院の奥で神々に向けて踊られ、旅行者が目にすることはまれ)、ブバリ(儀式の舞踊。寺院の祭礼で踊られる)、バリ・バリハン(観客向けの公演。夜に観るのはこれです)。この区分を知れば、旅行者がよく抱く不安が解消します。チケットを買って観ても、誰かの祈りを邪魔することにはなりません。舞台公演はまさに観られるために存在し、その収益が神聖な舞踊を守り続ける舞踊団を支えています。
踊り手はどこから来るのか
目にする舞踊のほとんどの背後にあるのは舞踊学校ではなく、地域の自治組織バンジャールです。子どもたちは幼いうち、多くは就学前から集会所で、同じ村の年上の踊り手に教わり始めます。ガムランの奏者も同じように、演奏の輪に加わりながら学びます。ウブドの公演が作り込まれたショーというより村の技の披露に感じられるのはそのためで、実際にそうなのです。また、観ることがチケット代以上の支えになるのもそのためです。舞踊団の収益は、次の世代を育てるバンジャールに還元されます。
代表的な3つ以外にも、ラーマーヤナ・バレエ(ガムランとともに叙事詩の全編をウブドで上演)、ジャンゲール(掛け合いの歌を伴う、座って踊る若者の舞踊)、仮面舞踊のトペン(1人の踊り手が彫刻の仮面を付け替えながら次々と登場人物を演じる)にも注目してください。どれもウブドの週間プログラムで簡単に見つかります。夜の予定に合う公演をお尋ねいただければご案内します。
旅の基本情報
- ウブドのケチャ:火曜と日曜の午後7時。ウルワツのケチャ:毎日夕暮れ時
- バロン&クリス:毎朝バトゥブランで上演
- 公演は約1時間。子ども連れでも大丈夫です
- 自由席で良い席を取るなら20~30分前に到着を
- 写真はOK、フラッシュはNG
- 当社の文化ツアーのエクスクルーシブ版にはチケットが含まれます






